フミン酸・フルボ酸は怪しい?効果なし?嘘?

フミン酸フルボ酸の効果と安全性 フミン酸

人にとって安全なのか

フミン酸フルボ酸は人にとって安全なのか

フルボ酸はなんにでも効くってホント?

ネットで検索をすると、フルボ酸はまるで万能薬のように何にでも効くというような表現が多く散見されます。

そしてフミン酸に関しては、国内ではなぜかほとんど記載がなく、中にはフミン酸がまるで邪魔者であるかのように扱う、間違った情報まであります。

自然界では、フミン酸のフルボ酸も主に森林の中で植物や動物の遺骸が微生物によって分解という過程を経て作られています。

この分解にはいくつかの段階がありますが、フミン酸とフルボ酸は腐植物質といい、これ以上分解されることのない最終形になります。

フミン酸とフルボ酸は最終分解物(微生物のエサにならない)として、何千年という長い間自然界に存在してきました。

そして植物や微生物たちに刺激を与えたり、大地のミネラルや栄養を掴んで(キレート)川や海へと流れてプランクトンや水生植物を活性化させたり、海の豊かさを形成してきました。

つまり、フミン酸とフルボ酸はずっと前から地球の生命活動に貢献しているのです。

フミン酸・フルボ酸、力のもとは構造にある

フミン酸もフルボ酸も炭素(C)が含まれる化合物で、多くの官能基や活性基を持っています。

代表的な官能基は水酸基(OH)とカルボキシル基(COOH)ですが、有機化合物にカルボキシル基がくっつくと有機酸と呼ばれる形になります。

(脂肪酸やアミノ酸、クエン酸なども有機酸)

この水酸基とカルボキシル基の組み合わせ(OH+OH、OH+COOH、COOH+COOH)から

2つのHを離して別のもの、例えば鉄(Fe)と交換する力をキレート力といいます。

フミン酸とフルボ酸とキレート模式図

キレート力は、掴む力と置き換えられますが、専門的には、掴んだ状態を錯体といい、重金属など、そのままでは毒性を持つようなものであっても錯体を形成することにより、その金属を包んで運んだり、除去したり、毒性を弱めたりすることができます。

こうしたキレート力を持つフミン酸やフルボ酸が掴んだ栄養素や酸素を、植物の場合は根から、動物や人は腸から、安全な形で吸収できるようになるのです。さらにフミン酸には、細胞の透過性を向上させる機能もあり、生物の代謝促進には欠かせない有機酸なのです。

本当に何にでも効くのか

フミン酸フルボ酸は本当に何にでも効くのか

栄養や酸素を掴んで吸収することが生命維持にとって重要だということはわかりますが

  • 癌が治った
  • 血糖値が下がった
  • 痛みが取れた
  • アトピーに効いた
  • 花粉症が楽になった
  • 血圧が下がった
  • イボが取れた
  • 便秘が改善された
  • 髪が生えてきた
  • シミが取れた
  • 胃の痛みが消えた

などなど、フミン酸やフルボ酸にはいかにも怪しげな解説が見受けられます。

まるで魔法の薬かのような効果に、はたして何か根拠でもあるのかと調べてみると、権威のある科学系専門誌で発表された論文の中でもその効果が示され、医薬品への可能性を示唆しているものまであります。

このような論文では多くが、フミン酸・フルボ酸製剤の中には粗悪なものなものもあるため、どのようなものを選択するかが重要であるとしています。

加えて、原料の選択、抽出方法、分画方法、精製方法に至るまでを議論する以前に、安全性自体に疑問を抱くものが多数存在していることも強調しています。

ドイツで発表された、腐植物質に関する論文では、水産用(水生生物)として開発された化学合成品(合成フミン酸と合成フルボ酸)による、魚の胚への影響を報告しています。

有性生殖をする植物は1つの受精卵が複雑なプロセスを経て、やがて体が作られます。

この過程の中で組織や器官が形成される前に発生する胚は、置かれた環境によって大きく影響を受けやすく、特に化学物質に対し敏感であるとされています。

この論文によると、ゼブラフィッシュという熱帯魚の胚を化学合成品に6週間、高濃度のもとに曝露させたところ、生存率が著しく低下したとしています。

さらに、まだ弱い稚魚にとっては、毒性を持つ可能性を示唆しています。

他にも、その論文では、熱帯性ミズゴケの酸素放出量試験において、化学精製したフミン酸もフルボ酸もコントロール群よりも低下したとしています。

また、世界のさまざまな地域から採取した天然の有機物(フミン酸やフルボ酸が含まれる腐植)の場合では、酸素放出量が増えたのはノルウェーにあるHellerudmyraという湿地のものだけであったと報告しています。

このように、ひとくくりに「フミン酸」「フルボ酸」といっても、その種類は合成品から化学精製品、ナチュラル(ケミカルフリー抽出)までさまざまなものが存在しています。

また、ナチュラルなものであっても、フミン酸・フルボ酸の基となる植物の種類や生成過程、採られた環境や状態などの違いによって、その機能が全く異なってしまうというのです。

そして安全性に至っては、危険と思われるようなものまで存在しています。

安全性を知る

健康や美容のために、フミン酸やフルボ酸をと思ったのに、悪影響があっては困りますね。

だからこそ、効果や機能の前にまずは安全性のチェックをしてみましょう。

①原料の安全性

現在フミン酸やフルボ酸の抽出でよく使われる原料は大きく分けて2つあります。

一つは亜炭(ヒューミックシェル)、もう一つは泥炭(草炭)です。両方ともフミン酸やフルボ酸が高濃度に含まれるので原料として利用されています。

このうち、亜炭(ヒューミックシェル)は、生成過程とその環境によっては、多くの重金属が含まれる可能性があります。

中には複数の放射性物質が含有している場合もあり、危険性を伴うため私たちが飲んだり塗布したりなど、直接的に使用することはあまりありません。

万が一、原料に亜炭を使用している場合には、重金属(放射性物質)の残留の有無と、製品そのものの安全性を、例えば試験結果などで確認するすることをおすすめします。

②抽出・精製法による安全性

フミン酸・フルボ酸の抽出には、標準となる抽出方法(IHSS法)が定められています。

この方法では、水酸化ナトリウム(NaOH:強アルカリ性の劇物)や塩酸(HCl:強酸性の劇物)などを使用するため、こうした化学物質が残留しないようにきちんと中和する必要があります。

フミン酸とフルボ酸、水酸化ナトリウムと塩酸の反応式

この方法が一般的な理由のひとつは、中和の工程で生成される塩基(Cl)がナトリウム(Na)と反応して塩(NaCl)となるため、安全とされているからです。

IHSS法による土曜資料からの腐食物質の分画

そもそもなぜ化学物質を使用するのかと言えば、亜炭(ヒューミックシェル)も泥炭(草炭)も、その性質上、水だけではフミン酸やフルボ酸を分離・抽出することが不可能だからなのです。

亜炭

鉱物化した亜炭の場合、最初に鉱物化を解くために、強い酸を使って溶かす必要があります。

日本では硝酸(HNO3)を使ってニトロ化したニトロフミン酸が製造され、農業分野などで使用されています。

ところが亜炭(ヒューミックシェル)から「純水だけで抽出したフルボ酸」とアピールしているサプリメントや化粧品用の原料を見かけることがあります。

気になって成分の分析値を確認してみると、硫黄(S)の数値が極端に多いことから、前処理として亜炭を溶かすために硫酸(H2SO4)が使われていることが推測されました。

加えて、重金属(放射性物質を含む)を多く含有しているものもありました。

湿地帯に生えるヨシなどの水生植物が堆積してできる泥炭(草炭)には、フミン酸やフルボ酸が40~50%と高濃度に含有しているとされています。

これはフミン酸やフルボ酸が難分解性の繊維質にからまってしまい、ほとんど溶出できないからであり、この点だけをとっても、水のみで抽出するのは不可能だということを意味しています。

従って、フミン酸・フルボ酸に絡みついた難分解性の繊維質を酸性の化学物質で溶かす必要があるのです。

にもかかわらず、泥炭を原料としているのに「水だけで抽出したフルボ酸」と紹介しているフルボ酸水溶液を見かけ、驚いてしまいました。

さて、フミン酸が含まれず、フルボ酸のみとする製品の場合、その性質の違いから、前処理、抽出、精製、このいずれかの工程で、塩酸(HCl)や硫酸(H2SO4)、硝酸(HNO3)といった無機酸(炭素:Cを含まない)が使われていることを明確に示しています。

なお、フミン酸は無機酸に触れると沈殿してしまうため、水には溶けません。

これを水溶化させるためには、強アルカリの水酸化ナトリウム(NaCl)や水酸化カリウム(KOH)に反応させた状態を維持する必要があります。

こうしてできるフミン酸水溶液がそのままでは危険なのは、言わずもがなです。

純粋なフミン酸とフルボ酸は「酸」とついていますが酸味はない

もう一つ安全性のチェックポイントとして、味で確認する方法があります。

実は、純粋なフミン酸とフルボ酸は「酸」とついていますが酸味はありません。

同じ有機酸のクエン酸(C6H8O7)や酢酸(CH3COOH)のような強い酸味がないのです。

もし、お手持ちのフミン酸やフルボ酸に強い酸味がある場合には、抽出・精製過程で使われた塩酸や硫酸などの無機酸が残留している可能性が捨てきれません。

確認チェックリスト!

これまでの話しから、安全性の確認には下記のような用法があげられます。

  1. 原料には何が使われているのか
  2. どのような抽出、精製方法を行っているのか
  3. 無機酸の使用が隠れていないか
  4. 味はどうか、酸味があるか など

こうしたチェックが必要なものばかりではなく、しっかりとした手順を踏み、中和された安全なものももちろん存在しています。

キャッチフレーズの「効能効果」や「オーガニック」「天然」「ピュア」などのキャッチフレーズに惑わされることなく、まずは安全な製品とはどういうものなのかを見極め、知ることが大切です。

安全性に関する情報を開示しているところもありますので、調べてみましょう。

わからない場合には問い合わせしてみることをおすすめします。

もしも、教えてくれない、調べていない、というような回答であれば少し注意した方がいいかもしれませんね。

参考までに、いくつかの安全性試験についてご紹介します。

安全性を確認するときに知っておきたい試験の種類

化粧品やサプリメントの安全性を確認するときに知っておきたい試験の種類

化粧品など皮膚に使用する場合

  • 24時間閉塞ヒトパッチテスト
    皮膚接触によって生じる、一時刺激性(接触性皮膚炎)についての安全性の評価
  • 累積刺激及び感作試験(RIPT)
    累積された皮膚刺激による感作性(アレルギー)及び皮膚への安全性の評価
    (アレルギーの起こりにくさを評価。ヒトパッチテストの後に実施)
  • 口腔粘膜刺激性試験
    角質のない皮膚モデルを使用して、口腔内膜など、弱い組織の安全性の評価
    (歯みがきなど口腔ケアで使用する際の刺激を評価)

サプリメントや飲料などに使用する場合

  • 復帰突然変異試験
    細菌を用い、遺伝子突然変異誘発能の有無を明らかにする
    (遺伝子が放射性物質などにより傷つくと変異を起こし発がんする可能性が生じるため、その可能性を確認)
  • 細胞毒性試験(LD50
    摂取した動物が半数死亡するまでの量(半数致死量)を想定する

効能・効果

フミン酸フルボ酸の効能・効果

ここまで安全性のチェックについてお伝えしましたが、安全性をクリアしても、果たして本当に効果があるのかどうか、という問題になります。

結論からいえば、論文で発表されているフミン酸やフルボの驚くべきような効果が、各製品に当てはまるかどうかは全く不明です。

定まった構造を持たず、分子量(大きさ)も官能基や活性基も異なるフミン酸やフルボ酸は、出来上がった製品でそれぞれ確かめるしかないのです。

構造解析からわかる違い

フミン酸、フルボ酸は原料や産地、生成プロセス、さらには出発原料となる植物の種類、抽出方法や精製方法の違いによって呼び名は同じでも、全く異なる構造や性質を持つことがありますので、まずはそれぞれの構造を知る必要があります

  • 分子量解析
    フミン酸やフルボ酸の大きさやその分布を知る
  • 官能基の種類と量
    フミン酸やフルボ酸の特長を決める物理的、化学的性質を知る
  • 活性基の存在確認
    物質の反応を促進させる置換基の有無と種類を知る

この他、有機化合物の骨格を成す水素(H)や炭素(C)の存在形態を明らかにし、構造を推定させることができる、核磁気共鳴分光法(NMRスペクトル)などによってフミン酸やフルボ酸の構造を解明することが可能です。

構造がわかると、それぞれのフミン酸やフルボ酸が何者であるか、また、官能基や活性基の種類や量を知ることにより色々な反応の予測が立ちます。

つまり、このフミン酸・フルボ酸がどのような性質や機能があるかが見えてくるのです。

原料別、フルボ酸の構造の違い

機能性試験からわかる違い

構造がわかったならば文献(論文)などと照らし合わせながら、どのような機能(反応)がありそうなのかある程度予測を立てることが出来ます。

次に、こうした機能が実際に備わっているかどうか、試験によって裏付けをしてみることが大切です。

こうした試験は、あくまでも可能性に確実な結果をもたらすものであって、機能(効果)を保証するものではありません。

なお、機能を知るための試験には、目的に応じていくつもの項目がありますので、参考までに事例をいくつかご紹介します。

抗酸化力

活性酸素が正常な細胞に結びつくと過酸化脂質を発生させるため、細胞の老化を早めるだけでなく、がん細胞の増加や動脈硬化を引き起こすなどさまざまな病気の原因になることが知られています。

その活性酸素を抑える力が抗酸化力です。

抗酸化力の評価として一般的には3つの試験方法があります。

評価方法
  • DPPHラジカル消去活性 
  • SOD様活性 
  • H-ORAC法 

抗糖化力

酸化をサビ、糖化をコゲと表現することがありますが、還元糖によるタンパク質などの非酵素的な糖化反応から生じる終末糖化物(AGEs)の生成を抑える力を測定します。

AGEsは老化物質ともいわれ、分解されにくく、蓄積すると皮膚や血管、骨など体全体の老化を進行させます。

また、炎症反応を引き起こすことで糖尿病、ガン、循環器疾患、アルツハイマーといった多くの疾病に関与するとされています。

こうしたことから、抗糖化は抗老化力ともいえるでしょう。

評価方法
  • 蛍光性AGEs生成抑制作用 

抗炎症作用、肌のうるおい保持作用

ヒアルロニダーゼは炎症時に産生され、炎症やアレルギー反応に関与する酵素で、この活性を抑えることは抗炎症、抗アレルギーにつながる可能性を秘めています。

またヒアルロニターゼは、皮膚の保湿に関わるヒアルロン酸を分解する酵素として働くため、肌のうるおいを保つ上でこの活性を抑えることが重要です。

評価方法
  • ヒアルロニダーゼ阻害活性 

肌のハリの維持(シワの改善予防効果)

エラスターゼは、弾力線維とも呼ばれ、網目状のコラーゲンを結び付け、肌のハリを維持するエラスチンを分解する酵素です。

つまり、お肌のハリを維持するためにはエラスターゼのはたらきを抑える必要があります。

またヒアルロニダーゼ阻害活性とあわせるとシワの改善、予防効果といった可能性も見えてきます。

評価方法
  • エラスターゼ阻害活性

糖の吸収阻害(肥満予防、血糖値上昇抑制効果)

摂取した二糖類を単糖類に分解し、血糖値を上昇させる酵素であるα-グルコシターゼの活性を阻害する能力を測ります。

糖尿病は重症化すると網膜症、腎症、神経症をはじめ心筋梗塞、脳梗塞など多くの合併症を引き起こす怖い病気です。

日本では、糖尿病が強く疑われる人とその可能性を否定できない人をあわせると約2,000万人いるといわれています

その予防や改善効果の一つの指標となるため重要視していた指標です。抗酸化能とあわせると糖尿病の予防や改善の可能性の確認ができます。

※厚生労働省 平成28年国民健康・栄養調査結果の概要

評価方法
  • α-グルコシダーゼ阻害活性 

血圧上昇抑制効果

レニン-アンジオテンシン系で、昇圧作用のあるアンジオテンシンⅠをアンジオテンシンⅡに変換すると同時に、降圧ペプチドのプラジキニンを分解する酵素であるアンジオテンシン変換酵素(ACE)の活性を阻害する能力を評価します。

評価方法
  • ACE阻害活性 

まとめ

フミン酸やフルボ酸は決まった構造を持たないため、その基となる植物の種類、生成される環境や状態の違い、また抽出・精製の硬いで使われる化学物質や処理方法によって構造も性質も変わってしまうという特徴があります。

また、安全性に関していえば、どのような製品なのか、安心できるものなのかを自分の目で確かめる必要があると考えています。

弊社のフミン酸・フルボ酸水溶液『HS-2』、『HuFuferme®』は、原料の選定から抽出方法に至るまで化学物質を一切使用しない、純国産の完全オーガニックです。

安全試験の内容や機能性に関する情報は、下記からご確認いただけます。