ワンヘルス(One Health)を紡ぐ腐植物質

次代の子どもたちにより良い環境を引き継ぐために

腐植物質がワンヘルスを紡ぐ

1985年に初めて開催された世界会議によって地球温暖化が大きく取り上げられてから約40年となる2023年7月、国連事務総長の会見によって温暖化よりもレベルの高い「地球沸騰化」時代の到来が告げられました。

気候変動は世界各地で発生する水害や干ばつだけではなく、頻発する竜巻、高温障害なども重なり、穀物や野菜といった農産物に深刻な影響をもたらしています。

地球規模の環境問題は急激な気候変動ばかりではありません。
マイクロプラスチック(MPs)、原油や石油製品に由来する多環芳香族炭化水素(PAHs)をはじめとするさまざまな汚染物質によって土壌や海洋の汚染が広がっています。

陸上の食物連鎖における生産者である植物は土壌からの栄養と光合成なくしては成り立たちません。その大切な土壌が、化学肥料、化学農薬を投入し続ける慣行農法の普及も影響してか、枯渇化し失われ始めているのです。

ワンヘルスとは、人と動物の健康と環境の健全性は生態系の中で相互的につながり、強く影響しあうとして包括的に捉え、これらの分野の関係を構築し、課題解決のため横断的に活動していくという概念です。

その一方で、私たちの活動域は他の生物たちの生息域を狭めながら拡大し、種の絶滅スピードは加速の一途をたどっています。汚染と枯渇化する土壌、こうした中でも増加し続ける人類にとって、食料危機は避けては通れない問題なのです。

ここに、2023年に発表された1報の論文があります。

“Humic Substances as a Versatile Intermediary”(多用途な仲介者としての腐植物質)

Humic Substances as a Versatile Intermediary
Humic substances are organic ubiquitous components arising in the process of chemical and microbiological oxidation, generally called humification, the second l...

この論文は、人や動植物の健康だけではなく、環境の健全性においても、土壌有機物(NOM)の60%を占める腐植物質(HS)が仲介者としてきちんと働けば、ワンヘルス(全ての健康はひとつ)の実現が可能とした提言です。

Humic Substances as a Versatile Intermediaryより改編

上の図は、人、動物、植物の健康に加え、土壌を含めた環境の健康にフミン酸やフルボ酸などの腐植物質がどのように作用しているかを表したものですが、腐植物質がワンヘルスのコンセプトとして機能し、3つの分野に深く関わっていることがおわかりいただけると思います。

ワンヘルス、弊社の取り組み

ワンヘルスの中核を成すフミン酸・フルボ酸(腐植物質)はこれまで、植物の遺体が地中で腐植化のプロセスを踏まずに炭化して固定化された亜炭や泥炭などを原料とし、化学抽出・精製するのが主流でした。
しかし、せっかく地中に固定されている炭素を掘り出すこと自体、温暖化を加速させる行為へとつながります。しかも、化学物質を使用した抽出は安全性の確保が難しく、加えて生理活性が低くなってしまうという難点があるのです。

フミン酸・フルボ酸は本来、森の中で毎日のように生成され、あらゆる生命に活力を与えています。そこで弊社は、できるだけ活性が高く、自然な状態でフミン酸・フルボ酸を抽出し精製することにチャレンジしました。

このチャレンジでは、出発原料にスギ・ヒノキの間伐材を活用しました。 間伐材をチップ化して4年間発酵(十分に堆肥化した完熟状態)させると、難消化性のリグニンが微生物の力で分解し(腐植化プロセスを経て)フミン酸とフルボ酸が生成されます。この完熟堆肥から水だけで高濃度なフミン酸とフルボ酸を同時に抽出、そして水溶化(商業化)することに世界で初めて成功しました(特許抽出法)。

安全性については、人に対し「24時間閉塞ヒトパッチテスト」「累積刺激及び感作試験(RIPT)」「細胞毒性試験(経口)」「復帰突然変異試験」「口腔粘膜刺激代替試験」「眼刺激性試験(STE法)」を実施し、環境では「急性遊泳阻害試験(オオミジンゴ)」、「急性毒性試験(メダカ)」、植物に関しては「植害試験」によっていずれも高い安全性を確認しています。

なお、弊社のフミン酸とフルボ酸は日本腐植物質学会が頒布する標準品と性状が一致することはもちろんですが、さまざまな作用において標準品を上回る活性が確認されました。

弊社では、このフミン酸・フルボ酸水溶液を利用したワンヘルスへの取り組みを推進しています。

植物、農業、環境分野

植物本来の力を引き出すバイオスティミュラントとして『HS-2』シリーズを展開。高温障害対策や育苗時の徒長抑制、健苗生育、収量のアップにつながるとして全国の生産者からご好評いただいています。
こうした実績は業界新聞や専門誌などで数多く紹介されました。

環境分野では、政府系研究機関と協力し温室効果ガス(GHG)低減プロジェクトや海洋資源再生プロジェクトなどが進行中です。

美容、健康、食品分野

健康分野では医師たちとの臨床を含めた共同研究により、さまざまな可能性についての検討が進んでいます。

美容や食品に対する展開では、食品・化粧品原料レベルに精製し安全性を担保した『HuFuferme(フフファーム)』の社会実装が進み、化粧品や(健康)食品など数多くの商品が上市されています。

次代の子どもたちにより良い環境を引き継ぐために

フミン酸、フルボ酸をはじめ腐植物質は古くから研究が進み、機能性や作用に関する文献が数多く発表されています。こうした文献を読み解くに連れて、これまでは森で生成され地球全体をくまなく循環していた有用な有機物(炭素化合物)であるフミン酸やフルボ酸が、環境破壊によって土壌や海洋、そしてこれらに生息する生物に届きにくくなっている現実が見えてきます。

弊社がフミン酸やフルボ酸の原料に間伐材を活用したのには、ふたつの理由があります。

ひとつは地中で固定されている炭素(炭化した亜炭や泥炭など)を掘り起こすことが地球温暖化を惹起してしまう可能性があること。

もうひとつには、日本の人工林の約70%を占めるスギ、ヒノキの健全な生育や山全体の保全に欠かせない間伐。しかし、放置された間伐材によってもたらされる二次災害が問題視されていること。

温暖化と間伐材による二次災害、このふたつの問題を同時に解決する一助となれたならば。
こうした思いが間伐材の有効利用へとつながりました。

弊社は、より自然に近い状態でフミン酸、フルボ酸を取り出し、その機能を私たちや動植物、海洋生物、さらには環境改善(浄化)のために活用することを提言します。

全ては、次代の子どもたちにより良い環境を引き継ぐために