フミン酸の新たな分画方法に関する論文が「Soil Science and Plant Nutrition」にて発表

HS-2

本年6月、弘前大学名誉教授である青山正和博士(農学)による、フミン酸に関する新たな研究結果に対する論文「Fractionation of soil humic acid constituents by hydrophilic interaction chromatography and subsequent acidification and analysis of the constituents by reversed-phase high performance liquid chromatography」が日本土壌肥料学会の公式英文誌「Soil Science and Plant Nutrition Vol.72. No.4」にて発表されました。

Soil Science and Plant Nutritionは国際土壌肥料科学連合が協力するジャーナルの一つで、日本土壌肥料学会の英文誌として、イギリスの国際的な出版社Taylor &Francisより発行される、土壌学および植物栄養学の分野において国際的に高く評価されている学術雑誌です。

青山先生には腐植物質に関する研究・開発の可能性を広げるべく発足した「腐植物質研究所」の所長を務めていただいており、共同研究という形で複数年にわたりフミン酸・フルボ酸についての知見を深めてまいりました。

昨年は高親水性フルボ酸の分画・回収方法の確立についての論文発表や、それに関する特許を取得いたしました。その後も青山先生による独自の研究が進み、これまでの定義では一括してとらえられてきたフミン酸の、より複雑な構造や多様な性質が見えてまいりました。

フミン酸は「アルカリに可溶で酸には不溶」という性質を利用し、アルカリで抽出してから酸性化し、沈殿させて分画するのが一般的です。今回の研究では、土壌から抽出したフミン酸を親水性相互作用クロマトグラフィー(HILIC:親水性の違いで分画)、酸性化(酸沈殿性の違いで分画)、逆相HPLC(RP-HPLC:疎水性の違いでさらに分画)という複数の手法を組合せて分離することで、フミン酸の超分子構造を解きほぐし、その構成成分をより詳細に分離・分析することに成功しました。

これまでは尿素を用い、フミン酸の超分子構造を構成する分子間の弱い相互作用を解離する方法が用いられていましたが、今回の研究では、こうしたアプローチとは異なる新たな分離方法により、分離後のフミン酸の様相がより詳細に映し出されることとなりました。

フミン酸は、HILICによって親水性の異なる3つの画分に分離され、それぞれ異なる化学的性質を示すことがわかりました。また、分離後のフミン酸の中には、酸性化させても沈殿せず、フルボ酸のように水溶化するものが存在することも明らかになりました。すなわち、超分子構造を解いて分離させたフミン酸のなかには「酸に不溶」という定義とは異なるフミン酸が存在していることも解明されました。

かつて、フミン酸は比較的大きな高分子と言われてきましたが、2001年に著名なイタリアの土壌学者であるアレッサンドロ・ピッコロ氏らの提唱によって、フミン酸を、小さく多様な構成成分が弱い相互作用によって集合する「超分子構造」として捉える考え方が提唱されました。今回の研究結果は、これらを裏付ける結果であるとともに、超分子構造をほどく新たな分離法によって、フミン酸の性質をより深く知る、さらなる研究の可能性を示すものです。

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